サイカイ。〜始まりの風〜
終わらせるためだった。
全ては殻を脱いで羽ばたくため。
わたしはそう言い聞かせていた。
何故あなたは私に
「また逢いたい」
なんて言ってきたの?
わたしの最後の復讐。
あなたへの未練を断ち切るため。
なのにあなたは、あの人変わらぬ、
澄んだ瞳でわたしを見つめる。
そんな瞳で見つめられたら、
わたしの心は、
濁ったはずのわたしの心が激しく高鳴る。
一瞬風が吹き、わたしの髪が視界を遮る。
髪を上げ、再びあなたを見つめ直すと
あなたは木を見上げていた。
「もう夏になるね」
わたしの時が、再び…
川の流れはいつも同じ。
当たり前のように。そっと緩やかに流れ始めた。
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